※本記事は、国税庁が公開する情報などをもとに編集部が独自に整理した一般的な情報です。編集部は税務の専門家ではありません。税制・控除の取り扱いは改正される場合があり、個別の事情によって判断が異なることがあります。実際の確定申告・医療費控除の際は、必ず国税庁の最新の公式情報をご確認いただき、判断に迷う場合は税務署や税理士などの専門家にご相談ください。本記事は税務に関する個別の助言を行うものではなく、還付の可否や金額を保証するものではありません。
「出産費用は医療費控除の対象?」「一時金はどう扱う?」「タクシー代は入る?」——出産は費用がかさむぶん、控除の対象になるかで金額が変わります。この記事で整理します。
「出産育児一時金」と「出産手当金」は、扱いがまったく違います。
- 出産育児一時金——差し引きます。国税庁は健康保険組合や共済組合などから支給される出産育児一時金や家族出産育児一時金、出産費や配偶者出産費などの金額は、医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければならないとしています
- 出産手当金——差し引きません。出産の前後に勤務できないことに基づいて給付される性格のもので、医療費を補てんするものではないためです
名前が似ていますが、性質がまったく違う給付です。混同すると控除額が変わります。
これ以外に差し引くものとしては、高額療養費や民間の医療保険の給付金などがあります。
BabyBest編集部は、2人の子どもを育てながら当サイトを運営しています。医療費控除は「10万円を超えたら」という説明が中心になりがちですが、実務で迷うのは何を差し引くかとどこまでが対象かでした。とくに出産育児一時金と出産手当金の違い、タクシー代と里帰り交通費の線引きは、国税庁が明確に示しています。編集部は税務の専門家ではありません。個別の判断は税務署や税理士へ。
出産育児一時金は差し引き、出産手当金は差し引きません。後者は休業に対する給付で、医療費の補てんではないためです。対象になるのは妊婦健診・検査・分娩費・入院費、病院に支払う入院中の食事代、公共交通機関の通院費。電車やバスが困難でタクシーを使った場合は対象ですが、実家で出産するために帰省する交通費は対象外です。寝巻きや洗面具など身の回り品、出前や外食も対象外。セルフメディケーション税制とは併用できません。還付申告なので、対象年の翌年1月1日から5年間申告できます。
※混同すると控除額が変わります。明細書に入力する前にご確認ください。
対象になるもの・ならないもの
- タクシー代は「困難な場合」なら対象
- 里帰りの帰省交通費は対象外
- 入院中の食事代は対象、出前は対象外
| 費用 | 扱い |
|---|---|
| 妊婦健診・検査 | 対象——妊娠と診断されてからの定期検診や検査の費用 |
| 分娩費・入院費 | 対象 |
| 入院中の食事代 | 対象——病院に対して支払う入院中の食事代は、入院費用の一部として支払われるものだからです |
| 出前・外食 | 対象外——他から出前を取ったり外食したりしたものは含まれません |
| 通院の交通費 | 対象——電車やバスなど公共交通機関の運賃 |
| タクシー代 | 条件つきで対象——電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なためタクシーを利用した場合は対象になります |
| 里帰りの帰省交通費 | 対象外——実家で出産するために実家に帰省する交通費は含まれません |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | 対象外 |
| 寝巻き・洗面具など | 対象外——入院に際し身の回り品を購入した費用は含まれません |
公共交通機関の運賃には領収書が出ません。そのため日付・区間・金額をメモしておく必要があります。家計簿でも構いません。
タクシーを使った場合は、領収書と、なぜ公共交通機関が困難だったのか(陣痛が始まった、深夜だったなど)が分かるようにしておくと安心です。
計算のしかた
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費から、①保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに②10万円(または所得金額の5%のいずれか少ないほう)を差し引いた額が控除の対象になります。
差し引くもの(補てん額)
- 出産育児一時金・家族出産育児一時金
- 高額療養費
- 民間の医療保険の給付金
差し引かないもの
- 出産手当金——休業に対する給付です
- 育児休業給付金——同様に医療費の補てんではありません
控除額がそのまま戻るわけではありません。控除額に税率をかけた分が、税金の軽減につながります。実際の還付額は所得によって変わります。
補てん額は、そのもとになった医療費からのみ差し引きます。
たとえば出産育児一時金は「出産費用」から差し引くもので、家族の別の医療費から差し引く必要はありません。
差し引いてマイナスになった場合も、その分を別の医療費から引く必要はありません。
詳しい計算は国税庁の確定申告書等作成コーナーで確認できます。判断に迷う場合は税務署にご相談ください。
申告のしかた
- 家族の医療費は合算できる
- 5年さかのぼれる
- セルフメディケーション税制とは併用不可
- 医療費の領収書——医療機関ごと、用途ごとに集計しておくと入力が早くなります
- 交通費のメモ——日付・区間・金額
- 補てん額が分かるもの——出産育児一時金の支給額、保険金の支払通知など
- 源泉徴収票(給与所得の場合)
- 本人確認書類、還付を受ける口座情報
医療費通知(健康保険組合から届くお知らせ)を使える場合もあります。
領収書の提出は不要ですが、一定期間の保管が必要です。
- 家族の医療費は合算できます——生計を一にする家族の分をまとめられます。所得の高い人がまとめて申告すると、税率の関係で有利になることがあります
- 5年さかのぼれます——還付申告なので、対象となる年の翌年1月1日から5年間申告できます。過去の分を忘れていても間に合うことがあります
- セルフメディケーション税制とは併用できません——どちらか一方を選ぶことになります
医療費控除は世帯の1年分をまとめるものです。出産費用に加えて、次のようなものも対象になり得ます。
- 家族の通院・入院
- 歯科治療
- 処方薬・市販薬(治療のためのもの)
- 子どもの通院——助成で自己負担がなかった分は対象外です(子ども医療費助成)
出産の年は10万円を超えやすいので、世帯全体の医療費をまとめて確認してみてください。
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よくある質問
- 出産育児一時金は差し引きますか?
- 差し引きます。国税庁は、健康保険組合や共済組合などから支給される出産育児一時金や家族出産育児一時金、出産費や配偶者出産費などの金額は、医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければならないとしています。
- 出産手当金も差し引きますか?
- 差し引きません。出産手当金は、出産の前後に勤務できないことに基づいて給付される性格のもので、医療費を補てんするものではないためです。名前が似ていますが、出産育児一時金とは性質がまったく違う給付です。混同すると控除額が変わるのでご注意ください。
- タクシー代は対象になりますか?
- 条件つきで対象になります。国税庁は、出産で入院する際に電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なためタクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象になるとしています。領収書と、公共交通機関が困難だった事情が分かるようにしておくと安心です。
- 里帰り出産の交通費は?
- 対象外です。国税庁は、実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にならないと明示しています。自家用車のガソリン代や駐車場代も対象外です。
- 入院中の食事代は対象ですか?
- 病院に対して支払う入院中の食事代は、入院費用の一部として支払われるものなので、一般的には対象になります。ただし他から出前を取ったり外食したりしたものは対象になりません。寝巻きや洗面具など身の回り品の購入費用も対象外です。
- 去年の分を忘れていました。
- 還付申告なので、対象となる年の翌年1月1日から5年間申告できます。過去の分を忘れていても間に合うことがあります。なお医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、どちらか一方を選ぶことになります。
まとめ
いちばん間違えやすいのが「出産育児一時金」と「出産手当金」です。一時金は差し引き、手当金は差し引きません。手当金は出産の前後に勤務できないことに基づく給付で、医療費の補てんではないためです。
対象になるのは妊婦健診・検査・分娩費・入院費、そして病院に支払う入院中の食事代。出前や外食、寝巻きや洗面具などの身の回り品は対象外です。
交通費は線引きが明確です。公共交通機関は対象、電車やバスが困難でタクシーを使った場合も対象。ただし実家で出産するために帰省する交通費は対象外——国税庁が明示しています。運賃には領収書が出ないので、日付・区間・金額のメモを残してください。
そして家族の医療費は合算でき、5年さかのぼれます。出産の年は10万円を超えやすいので、世帯全体の医療費もまとめて確認を。セルフメディケーション税制とは併用できません。判断に迷う場合は、税務署や税理士にご相談ください。
- 国税庁の解説「医療費控除の対象となる出産費用の具体例」(出産で入院する際に、電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なため、タクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象となる/(注)実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはならない/入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用は医療費控除の対象にならない/病院に対して支払う入院中の食事代は、入院費用の一部として支払われるものなので一般的には医療費控除の対象になるが、他から出前を取ったり外食したりしたものは控除の対象にならない/健康保険組合や共済組合などから出産育児一時金や家族出産育児一時金または、出産費や配偶者出産費などが支給されるので、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければならない)
- 税理士による解説(出産手当金は、出産の前後に勤務できないことに基づいて給付される性格のもので、国税庁は医療費を補てんするものではないため医療費控除の計算上差し引く必要はないと説明している/出産育児一時金と出産手当金を混同しないことが重要/妊婦健診、検査、分娩費、入院費、病院に支払う入院中の食事代などを集計し、出産育児一時金や民間保険金などの補てん額を差し引いて計算する/医療費控除の明細書には「支払額」と「補てん額」を分けて入力し、領収書と交通費メモを保存する)
- 税務情報メディアの解説(医療費控除は還付申告にあたるため、対象となる年の翌年1月1日から5年間申告することができる/妊娠中の定期健診や検査費用、通院のための交通費(公共交通機関)、分娩・入院費用などが対象/自家用車でのガソリン代や里帰り出産のための交通費は対象外/医療費控除の計算では、かかった出産費用から出産育児一時金などの補てん金を差し引く必要がある)
- 金融情報メディアの解説(医療費を補填する給付を受けたときは、医療費の合計から補填額を差し引いて控除対象額を計算する/医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできない/医療費控除の対象期間は1月1日〜12月31日の1年間/セルフメディケーション税制とは、同一生計の家族の分も含めた1年間の対象市販薬の購入額が12,000円を超える場合に、最大88,000円を控除する制度)
- 保険会社の解説(出産費用で医療費控除の対象となるのは、基本的に医師の判断による治療など、出産のために必要不可欠となるものに支払った費用/医療費控除の対象となる費用は、医師の診察などを受けるために直接必要なもの、かつ通常必要なものとされているため、公共交通機関を利用した場合の交通費は対象となる/自家用車での交通費や駐車場代、里帰りのための交通費は控除の対象外)
BabyBest編集部 2人の子どもを育てながら、育児グッズ比較メディア「BabyBest」を運営しています。国税庁が公開する情報などをもとに、一般的な情報として記事を作成しています。編集部は税務の専門家ではありません。税制・控除の取り扱いは改正される場合があり、個別の事情によって判断が異なることがあります。実際の確定申告・医療費控除の際は、必ず国税庁の最新の公式情報をご確認いただき、判断に迷う場合は税務署や税理士などの専門家にご相談ください。本記事は税務に関する個別の助言を行うものではなく、還付の可否や金額を保証するものではありません。詳しくは運営者情報をご覧ください。
※本記事の情報は執筆時点のもので、一般的な情報の紹介です。編集部は税務の専門家ではありません。税制・控除の取り扱い・要件・金額は改正される場合があり、個別の事情によって判断が異なることがあります。本記事に挙げた対象・対象外の区分や計算方法は一般的な整理であり、ご自身のケースに当てはまるとは限りません。実際の確定申告・医療費控除の際は、必ず国税庁の最新の公式情報をご確認いただき、判断に迷う場合は税務署や税理士などの専門家にご相談ください。本記事の情報にもとづく自己判断で申告を行わないでください。領収書は提出不要ですが一定期間の保管が必要です。公共交通機関の運賃は領収書が出ないため、日付・区間・金額の記録を残してください。本記事は税務に関する個別の助言を行うものではなく、還付の可否や金額を保証するものではありません。
